よく晴れた日曜日の午後。
いつもは静かな職員住宅が何やら騒がしい。
外に誰かいるようだ。
扉を開くと近所のMが草むらに向かって何か叫んでいる。
草むらに目をやっても何もいない。
「M?」と声を掛けると、肩で息をしながら、「こどもたちが・・危ない・・」
とブツブツ言っている。まさかアフリカの黒魔術にかかって気がふれた
のかと思った時、Mは石を拾い、フェンスににじり寄り、思いっきり石を
投げつけた。
私がビクッとするのと同時に、ザッと音がして、黒い動物が草むらから
逃げ出して来た。隣の家の裏に廻り込んだその動物は・・
なんと犬だった。
たまに職員住宅に入り込むハイエナやジャッカルではなく、ただの犬。
ある意味、ハイエナよりジャッカルより新鮮な珍客:犬に思わず
カメラを向けてしまった。
このあと犬は、喜んで大きな声を上げるこどもたちに追い回され、
エイッとばかりにフェンスを越えて、嬉しそうに(?)広いサバンナ
を走り回り、どんどんどんどん森の方へ駆け抜けて行ってしまった・・
おーい、そっちはライオンが出るよー!
・・と教えてあげる術もなく、
犬がどうなったのか気をもみつつ、日は暮れていった。
そういえば今日は犬年の弟の誕生日だった。
翌日、近所の人に「昨日の犬どうなったか知ってる?」と聞くと、
「さあ?小さい犬みたいな背中の黒いやつなら、さっきそこらへん
を走り回ってたけど・・」・・それはセグロ・ジャッカルだよ・・
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