泣いて笑って











今日は家具屋に注文しておいたガス・テーブルを引き取る日。
運転手のMと9時に家具屋に行こうと約束した。(我が職場他
いくつかのケニアの職場では、相応の理由があれば仕事中
出も許される。)

9時半。Mは来ない。
どうしてケニア人っていうのはいつもこうなんだろう?

「どうしてケニア人は約束を破るの?」
率直な疑問を同僚Gにぶつけてみる。
「待っている人がいるのに悪いと思わないの?」
Gは居心地が悪そうに口ごもる。
「ケニア人はそういうこと思わないのよ・・・

いつもは物分かりの良いGだけど、Gもやっぱりケニア人だ!

ネパール人の友人とも何度もこんなやりとりをしたことを思い
出す。ある環境で育った人に、その環境そのものに対する疑
問をぶつけも、その人にはわからない。解決できずにイラ
イラするだけだ。

Gは何も悪くないのに、同意を得られなかったことで裏切られた
ような気がして、自分が八つ当たりをしているようで、話している
うちにどんどん悲くなってきた。

「歩いて行くからいい!」吐き捨てるように言ってその場を去る。
ケニア人なんて大嫌い!
みんなの視線を背中に感じながらズンズン歩いて行った。

家具屋に着いて、どうやってガス・テーブルを運ぼうか思案して
いると、運転手のMから電話が入った。
「Uko wapi?(今どこ?)」

突然入った仕事(KWSでは大抵の仕事は「突然」入る)を終えて、
Mは約束通り私を迎えに来てくれた。

Mがちゃんと約束を守ってくれて、すごく嬉しかった。現金なもので、
家までガス・テーブルを運んでもらうと、すっかり機嫌が直った。
出かける前はあんなにトゲトゲした気持ちでいっぱいだったのに、
エデュケーション・センターに戻って来た時には、友達のところにでも
帰って来たようでホッとした気持ちにさえなった。

ちょうど会議用の昼食の用意ができたところで、他部署の職員も
集まって来て、昼食をこっそり(?)頂く。

同僚Sにお皿を渡されると、自然と顔がニコニコになった。
「スクマ・ウィキ(ケール)、たくさんちょうだい!」と元気良く言うと、
「あ~!mtoto wangu(私の娘)が笑った!」と同僚Rが嬉しそう
声を上げた。

腰に巻いた私のシャツを指差して、 「あんたが走って行っちゃった
から、きっと森に行ってそのシャツで 首を吊るんだって話してたの
よ。」と言って、みんなで大笑いした。

心配させてごめんなさい。
みんなが私のことを好きでいてくれて嬉しい。
朝はケニア人に怒って、昼にはケニア人と笑ってる。
こんなふうにしてケニアを好きになっていくのかもしれない。



写真は、夕方エデュケーション・センター近くに現れたウォーター・
バックのつがい。拡大するとメスの鼻先に止まっているオックス・
ペッカーが見えます。(撮影:E-3)