リトル アドベンチャー

KWSには職員専用の送迎バスがあり、私も朝の出勤時と
夕方の帰宅時、家と職場の往復はこのバスに乗っている。

今日もいつもの通り、職員住宅のゲートにて送迎バスに乗り込んだ。
バスはいつもの通り、出発し、みんなとおしゃべりしていたその時、
車内に小さな悲鳴が聞こえた。

え?と思うと、バスのタイヤが泥にとられ、ヌルーッと車体がすべった。
熟練ドライバーのMがなんとか泥から抜け出そうとハンドルを切った
ものの、車はそのまま道路をふさぐ形でスタックしてしまった。

周囲に動物がいないことを確認してみんなでバスを降りる。
車内にいた数人の男性で車体を押してみるも、スンとも言わない。

仕方なく車内で別の車が迎えに来るのを待つことにした。

写真後方に写っているのが職員住宅。こんなところでも
ライオンやバッファローが出るのでむやみに歩き回るのは危険。

小さな国立公園ナクルの、職員住宅のすぐそばの、リトル・アドベンチャー。
さすがアフリカ、と私はひとりでワクワクする。

十数分後には救出され、その日のうちに道は修復されたものの
この道はドライバーに嫌われる難所となってしまった。













満月

午前4時半に目が覚めた。

夜明けは6時頃のはずなのに
外が妙に明るいと思ってカーテンを開けると
満月だった。

サバンナの夜霧が白くたなびいている。

アカシアの林からライオンの鳴き声が聴こえる。

ポレポレ(ゆっくり)の国ケニアに来て
あっという間に年月がすぎ
気付けば残された時間は半年となった。

毎日見ているこの景色が
私の現実じゃなくなる日も近いと
少しずつ感じるようになった。