香りと記憶












職場の台所は友人の家の台所と同じ匂いがする。
薪の匂いだろうか。
かまどについたすすの匂いだろうか。

人間の脳の中で、香りを識別する部分(扁桃核)と

記憶を司る部分(海馬) は近いところにあるらしい。
だから人は、ある香りを嗅ぐと、
それにまつわる記憶をよみがえらせるらしい。

お昼ごはんを作りに台所に入る度に、

友人の家の台所を思い出す。
そして、いつもかまどの傍に座っていた

友人の父を思い出す。