青空の下の出会い













メイン・ゲートから歩いてエデュケーション・センターに戻る
途中、
知らない女の子がセンターの門の中に入って行くのが見えた。
近くにあるラボラトリーの関係者だろうか?

階段を登ってエデュケーション・ホールに着くと、遠くから
Rが
大きな声で叫んでいる。「女の子見なかった? ちょっと呼んで!」
急いでホールの裏側に戻ると、さっきの女の子がちょうど階段を
降り切るところだった。

「ハロー!ちょっと来て!」と声を掛けると、その子はいぶ しがる

でもなく、おとなしく階段を上がって来た。すごく足が速い。

後ろ姿を見た時から気になっていたけど、彼女の目を見た一瞬で
気に入ってしまった。明るい表情は、いわゆるケニア人の明るさとは
ちょっと違う。たたずまい、顔つき、表情、きれいなパワーがほとば
しっている。彼女は他の子とは全然違う。

遠目には小学生くらいに見えた
けど、近くで見るともう少し大きい
ようだ。聞くと、Rの姪とのこと。活発な印象は、細身で実年齢より
老けて見えるRとはずいぶん違う。

Rに、キャベツを家に持って帰るよう言われ、両手にビニール袋を
ぶら下げた彼女は去り際、私を振り返って
"Asante kwa kuteremuka."(下りて来てくれてありがとう。)
と言ってごく自然ににっこりと笑ったかと思うと、サッサッサッと
足早に草原を下って行ってしまった。

なんてさわやか。なんて感じの良い子だろう。私はすっか
感動して、
彼女に魅せられてしまった。仕事で忙しいRの傍らで、「ねえねえ、
なんて名前?何歳?学校は行ってるの?」など質問攻め。

毎日毎日、10シル20シルを騙し取ろうとするケニア人、

"Dakika moja!"(1分で終わるよ!)が絶対に信用できないケニア人
との生活で、本当に心を許せる友達ができるのだろうかと憂いていた
だけに、彼女の目はなにかを期待させてくれるものだった。

雨季のケニアにありながら、

真夏の日本のような青空の下の、素敵な出会い。



(写真は彼女の後ろ姿)

仕事中の服装

















青年海外協力隊として活動中の隊員の仕事着は、
職場に応じて様々。学校教員として活動する隊員の
場合、毎日スーツという人もいる。

例えば私の場合、上司(ワーデン)と同僚(レンジャー)
はKWSの制服(軍服のような迷彩服)を着ている。軍事
訓練を受けていない同僚(オフィサー)はスーツやオフィ
ス・カジュアル的な服を着ている。

そして私はと言うと・・毎日、写真のようなTシャツ&
ジーンズという軽装。せめてオフィス・カジュアルくらい
の服を着れば、同僚から尊重されるのだろうが、 この

恰好だとまるでこども扱い。

迷彩服は嫌いだけど、KWSの制服の一部である、黄緑
色のベレー帽とそれについているゾウ(KWSのロゴ)の
バッジはとてもかわいい。

同僚のレンジャーにお願いして写真を撮らせてもらった。

香りと記憶












職場の台所は友人の家の台所と同じ匂いがする。
薪の匂いだろうか。
かまどについたすすの匂いだろうか。

人間の脳の中で、香りを識別する部分(扁桃核)と

記憶を司る部分(海馬) は近いところにあるらしい。
だから人は、ある香りを嗅ぐと、
それにまつわる記憶をよみがえらせるらしい。

お昼ごはんを作りに台所に入る度に、

友人の家の台所を思い出す。
そして、いつもかまどの傍に座っていた

友人の父を思い出す。

環境教育分科会











ケニアで環境教育に関わるJICAボランティアらの
情報共有等を目的として設立された環境教育分
科会(以下ee分科会)。今日はケニアに来てから
初となるee分科会の会議に参加。

今年6月をもってee分
科会隊員全員が任期満了
帰国してしまうため、初参加でいきなり分科会
存続をかけた議論となった。先輩隊員5名、新
員3名という少人数だったためじっくりと話を聞
ことができて良かった。

最終的には、今後ee分科会を担っていく私たち平

成21年度第3次隊の意向を尊重する、と言っても
らったので、存続させてほしいとお願いした。

ee分科会の活動に力を入れすぎて任地での活動
をおろそかにすることなく、会の特性を自分たちの
活動に活かしていけたらと思う。



写真はナクル湖国立公園にあるバッファローの頭
蓋骨。そのうち教材として展示したい。

健康管理員の視察













朝10時前、JICAの健康管理員Dさんが、私の様子を
視察するため ナイロビから来て下さった。お客様が来
たみたいでなんとなく嬉 しい。

私の職場、家、お昼ごはんを食べる場所、そして病院
を視察。Dさんはケニア人とは比べものにならないほど
駆け足で仕事を済ませて、Eっちの住むナイバシャへと
移動して行った。

夜はDさんがおみやげに持って来てくれたアスパラを

野菜炒めにして、白菜とネギを味噌汁にし た。(アス
パラが巨大なのではなく、白菜が小さいのです)味噌
は日本から持参したインスタント。おいしい!!

鳥になりたい











「鳥になりたい」と人が言うのを聞いたり読んだりしたこと
があるけど、今までその発想がわからなかった。

でもそれは、私が鳥を知らなかったから。
鳥をよく見たことがなかったから。

ナクルに来て、のんびり空を見上げられる時間が増え、

風にのって湖の上空を旋回する鳥たちをみていたら、
私もあんなふうに飛べたら気持ちいいだろうな~と
思うようになった。

パーク・クリーニング

同僚Mrs.Mとプラスチックのリサイクルについて談義
していたところ、10時のお茶が運ばれて来た。それと
同時にバスの排気音がして、運転手のLが部屋に
入って来て言った。

「パーク・クリーニングに行くぞ!」

えっ??お茶も飲み切らないうちに慌ただしく出発。

対象はLanga Langa小学校の6年生、7年生(日本の
中学1年生にあたる)31名と先生2名。

公園の端、民家のすぐ近くでの清掃活動。
園内だが、ビニール袋、プラスチックの容器、サンダル
など、風や雨が運んで来たゴミでいっぱいだ。途上国
ではどこも同じだろうが、ゴミが地面に同化している。




















バッファローのすぐ近くでの清掃活動。
武装レンジャーがこどもたちを護衛。


今日はKWSのスタッフが大勢いたので私も緊張せず
に済んだ。ゴミを拾いながら何人かのこどもたちと話
する。「みんな今までゴミをポイ捨てしたことある?」
聞くと 全員がうなずく。ひとりは「ノー!」と言ったが
「本当?」と聞くと「エヘヘ。」と笑う。ゴミをポイ捨てを
したことがないケニア人なんていないに決まっている。
「ゴミはこうやって公園に来るんだからね。今日からは
ポイ捨てしちゃダメだよ。」 と子供たちに言うが、みん
あいまいに笑うだけ。あ~ダメだな。

この場所を清掃 するのは約1年ぶりとのこと。
 

約2時間後、生徒と一緒に集めたゴミは342kgにも
なった。「記録更新ね。」と喜ぶ主催スタッフ。

いや、喜ぶところじゃないでしょ。


気になったのは、清掃活動の前後に講義が行われ
なかったこと。参加したこどもの中には、空のペット
ボトルを見てもゴミだとは認識せず、枯れ枝をゴミだ
思って拾っている子もいた。


レンジャーが「木は土に戻るからゴミじゃないぞ。」
と説明すると、こどもたちは「わかりました!」と元気
良く答えていたが、レンジャーが去ると、「土に戻る
なに?」とヒソヒソ話。レンジャーが英語で説明した
のがマズイ。こどもたちの「わかりました!」は信用
ちゃいけないことがわかった。


案の定、お昼の時間になると何人かのこどもたちは
自分のゴミをそこらへんに投げ捨てていた。

なぜ活動の前後に講義をしないのか。
なぜ自分たちはゴミを拾うのか、
なぜゴミを捨てちゃいけないのか、

このやり方じゃこどもたちはきっとわからない。

時間をかけて、スタッフと話をしていきたい。

悪夢

嫌な夢を見た。ゾッとして朝の5時に目が覚めた。

弟に何かあったと思い、すぐに日本に電話をすると、
親戚のおばさんが亡くなったと聞かされた。小さい
よく一緒に遊んだ友達のお母さんだ。

夢では弟が大変なことになっていたけど、実際の
弟はピンしてへらず口をたたいていた。夢が
ずれ良かった。 弟に連絡をしなきゃな~、と
考えていながら、なかなか連絡できずにいたから
その引け目からこんな夢を見たのだろうか。

いつか家族が亡くなることもある、と頭ではわかって
いても、現実として考えたことはなかった。夢がとて
もリアルだったので、目が覚めた瞬間ひとりで泣いて
しまった。

2年間、日本には帰らないと言うと、ケニア人は驚く。
「家族に会えなくて寂しいでしょ。」と同情してくれる。
「うーん・・まぁ・・でも今はメールがあるから大丈夫。」
と言うと、人でなし、とでも言いたげな目で見られる。

でも今日、初めて家族を思いやることができた。
2年間、私も家族も無事でありますようにと改めて思った。


ホロホロチョウ













職場の近くの草原に、よくつがいで現れるHelmeted Guineafowl
Numida meleagris、ホロホロチョウ)。スワヒリ語の名前はkanga。

東アフリカの布”カンガ”は、もともと水玉模様で、ホロホロチョウの
模様のようだったため、カンガと名付けられたそう。

臆病者で、遠くに私の姿を見つけると、意外なほどの速さで走って
逃げる。