マテリアル紛失

休暇を終えてナクルに帰って来た。

数日経ち、ふと気付いた。「アレがない・・」

そう、アレ、年末に作ったアレ。


紛失したアレの説明の前に、私の活動するエデュケーション・センターの
建物の構造について説明しよう。訪問者は
廊下を通って、まずワーデン
のオフィスに着く。(写真右手の扉)















そのドアの左に続く廊下を一歩入ると左手にオフィサーの部屋(写真左手)
そこからさらに5歩入ると右手にレンジャーの部屋(写真奥右手)がある。
ホステルに続く正面の扉は閉まっていることが多い。














つまりレンジャーと私がいるオフィスは訪問者にとって一番奥の
わかりにくい場所にある。

エデュケーション・センターにお客さんが来たとする。ワーデンのオフィスにも
オフィサーの部屋にも誰もいないのを見ると、諦めて帰ろうとする。

日本であれば、お客さんの声を聞いた時点で、廊
下に出て、「こちらにどうぞ」
と案内するところだが、われらがレンジャーは、お客さんがこちらを見つけるま
で息をひそめている。

それではいけない、と思い、ワーデンのオフィスの扉の前に立った時に
見える位置に、貼り紙を出したのだ。それがコレ。












その貼り紙が、休暇からもどったらなくなっていたのだ。
掃除スタッフに聞いても知らないと言い、
残骸すら見なかったと言う。

エデュケーション・センターのホステルには、スクール・トリップでケニアの
学生が大勢やってくる。夜もレンジャーが警備に当たるものの、その夜勤
もレンジャーたちはサボりがちであった。

おそらく宿泊客のこどもたちに持って行かれたのだろう。

エデュケーション・センターの掲示板に掲示されていた環境教育教材が
バブーンに破かれたり、こどもに持っていかれるたりすることは同僚から
聞かされていた。それにしてもこんな貼り紙までなくなるとは・・

悲しいような、嬉しいような・・


教訓:なくなって困るものは、鍵のかからない場所に張ってはいけない

国立公園入園料値上げ

ケニアの国立公園の入園料が改定された。

私の働くナクル湖国立公園の入園料は、ノン・レジデント大人80ドル、
こども40ドルに、東アフリカ・レジデントは大人1,000シル、こども500シルに、
ケニア・シチズンは
大人1,000シル、こども200シルに値上がりした。(*)










大衆食堂で働くウェイターの月給が3,000シル、
中級レストランの門番の月給が6,000シルということに鑑みると
ケニア・シチズン(
大人)の入園料が1,000シルというのは極めて高額である。

数あるケニアの国立公園のうち、ただ二か所、最高位であるプレミアム・パーク
に位置づけられるナクル湖国立公園とアンボセリ国立公園。高すぎて庶民には
手が出ないと思われる入園料の設定は、多すぎる観光客を減らし、他の公園に
分散させるための手段とのこと。

それにしても、ケニア政府に税金をおさめているケニア・シチズンと、非納税者
である東アフリカ・レジデントの入園料が同額というのは疑問。

近隣住民からのプレッシャーの大きいナクル湖国立公園のような公園こそ、
たくさんの一般市民に訪れてもらって、自然保護の大切さを知ってもらうべき
だと思うのですが・・

ライオンを見てみたいけど、入園料が高くて公園には入れず、バブーンやイランド
に畑の作物を荒らされ・・と不満がたまる一方の住民が出てくるよね・・



* 2011年の入園料はそれぞれ60ドル&30ドル、1,000シル&500シル、
500シル&200シルであった。