旅行から帰って来るなり、公園は火事のニュースでもちきり。
1月から数件のボヤが報告されていたが、先週、周辺の畑から
公園に飛び移った火が大規模な火災に発展したらしい。
レンジャーたちは、 連日夜中の3時、4時まで消火活動に
あたっていたとのこと。
消火作業がひととおり終わった今日、上司マダムZやレンジャー
とともに火事パトロールに出かけた。
湖東側の丘、シンバ・ヒルズに初めて連れて行ってもらった。
丘から街方面(湖の反対側)に向かって、辺り一面焼け焦げて
真っ黒になっていた。見ると、車道(KWSの作業用オフロード)
のある所で火が止まっている。
道路がなかったら、火はさらに 燃え進んでいただろう。
丘一帯は2008年にも火災が発生した地域。枝の中が空洞で、
燃えやすい樹種が優先しているそうだ。
木立の向こうにクロサイを見つけた(写真には写っていません)。
「僕たちのおうちはどこ?ごはんはどこ?」
焼け野原を歩くシマウマの群れを見つけた上司がセリフをかぶせる。
湖のほとりまで降りて来たところで、木陰に炎が上がるを見つけ、
慌てて車を降りる。
「残り火だわ!水は持って来てる!?と聞く上司に
レンジャーは「持って来てません!」と答えた。
え???火事のパトロールに水を持って来てない???
「しょうがないわね、手で消すわよ!」
え???手???
上司はズンズンとやぶに入り、落ちていた枝をつかむと、炎を
上げるやぶに果敢に切りかかった。レンジャーと私もそれに従う。
火を細かく分散させて、最後はグリグリと地面に押し付けて消す。
周辺の地面には、乾燥したバッファローの糞が蓄積していて、
地面全体が熱をもっている。そういえばネパールではヤクの糞を
燃料としてストーブにくべていたっけ。草食動物の糞は植物の繊維
だらけなので乾燥させるとよく燃えるのだ。
運転手は、しつこくくすぶっている木片に飲みかけの500mlペット
ボトルの水をチョビチョビとかけていた。
・・・なんだかな・・・もう・・・
どうして今回の火事を消すのに4日間もかかったかを理解できた。
しばらく行くと、次は巨大な切り株が煙を上げているのを発見。
今度こそ水がないと手に負えないと判断し、メイン・オフィスに応援を頼む。
しかし15分以上たっても音沙汰がない。しびれを切らした上司が再びメイン・
オフィスに連絡をとると、「レンジャーたちは夜勤に備えて休憩中だから今は
行けない」とのこと。
・・・えー?・・・
仕方なく別のオフィスに水をもらいに行ったものの、今度はそこのオフィスの
長に、水タンクの貸し出しを断られた。
・・もう言葉がない・・
近隣住民からの借り物だという20リットルのタンクを2つだけ貸してもらって
現場に戻る。公園内にあるLake Nakuru Lodgeの職員も、仕事帰りに
駆けつけてくれた。人手はあるものの、肝心の水は100リットルほどしか
なかった。あるだけの水をバケツリレーして消火。
「やれるだけのことはやったわ。」上司とともに夜8時に帰宅。
モノがないのは仕方がないと思えるが、ヒトについても、ケニア
らしさ、途上国らしさをつくづくと感じた一件だった。