喜ばれる仕事

私の勤務するエデュケーション・センターではたまに会議が開催
される。会議が午前午後に及ぶ場合、主催者側から10時と16時
のチャイ、そして昼食が提供されることが多い。そしてそれらは
センターの台所で作られる。

事務所にいると、何種類も並んだポットの中身を区別できるよう、
付箋を貼りたいから貸してくれ、と会議のたびに頼まれる。

毎回、毎回だと付箋がもったいないし、手書きのタグは見た目も
良くない。せっかくだから、と手の空いた時間を使ってポットに
かけるタグを作ったところ・・・












これがコックさん他、同僚に大好評。

ワードで月間報告書を書く方法は知っていても、こういったもの
を作れることを知らなかったり、そもそもそういうアイディアが
なかったり。

コックさんが「来週大事な会議があるから、食事用のタグも作っ
てくれないか。」と言ってきた。お安い御用、と言われた通りタグ
を作ると、またまた大感激。












「あ~どうしてミホの名前を入れなかったんだ!"By Miho"って
入れておけば、ミホが日本に帰ってからも、これはミホが作った
ものだ、って僕たち懐かしく思い出すことができたのに!」と
タグくらいで恥ずかしくなるようなことを言う。

数日後、一番仲の良い同僚が私の事務所に入って来てこう言った。

「あんたの仕事は、あんたの持ってる知識を私たちに伝えていく
ことなんでしょ。あのタグの作り方を教えないうちに日本に帰っちゃ
ダメなんだからね。」

プライドの高い彼女らしい、素直じゃない依頼。でも嬉しい。

彼女が私から何かを学ぼうと動いてくれたことも、私が何度も言って
きた、「協力隊事業は物的支援じゃなくて技術協力なんだよ」という
説明が彼女に届いていたことも嬉しかった。

そして彼らと一緒に過ごして、彼らの言葉に耳を傾けて、
タグ作りみたいな小さな小さな仕事でもいいから、
彼らが欲しがってるものが何かを知って、
それに応えることがいかに大切かを再認識した。


そしてこの4カ月後、さらに別の同僚が、他の同僚がいない時
を見計らって私の事務所に来て、「このあいだ作っていたみた
いなタグを僕にも作ってくれないか。」と頼みに来た。